蜜蝋ワックスづくりと塗装
会長は長年にわたって、日本ミツバチを飼育し百花蜜の蜂蜜を毎年採取されています。
日本ミツバチは重箱式の段に積み重なった木の箱で飼育され、複数の花の蜜を採取してくるそうです。
味は、花粉も多く含んでいるため、濃厚で熟成されたような、やわらかい酸味などが感じられる蜂蜜になるようです。
取り出した蜂の巣の写真です。
蜜蝋は、ミツバチが巣を作る材料として、働き蜂の腹部にある分泌腺から分泌するロウのことです。
ろうそくやワックス、クレヨン、保湿効果があるためハンドクリームや化粧品、様々なところで使われています。
今回会長が蜜蝋を加工し、木材の塗装に使う「蜜蝋ワックス」をつくってくださいました。
会長宅のダイニングテーブルは塗装済で、木のイキイキとした表情が伺えます。
実際の加工工程を見せてくださいました。
材料はアマニ油を用いています。アマニ油320gを惜しみなく蜜蝋に注ぎ溶かしていきます。蜜蝋の量は1.5倍の480g。
蜜蝋を溶かしやすくするために細かく刻みます。
65°の温度を保ったまま湯煎に掛けます。
完全に溶け合うまでひたすらに混ぜます。
湯煎のお湯は次第にぬるくなるので、調整し注ぎ足します。
蜂蜜と見間違えるほどの黄金色です。
缶や瓶につめ完成です。
「蜜蝋ワックス」をさっそく事務所に持ち帰って、木材にスタッフ全員で塗装します。
まず乾拭きし、表面の汚れやごみを落とします。
ワックスをしみこませた布でなでるように表面を塗装していきます。
最後は、乾いた布で油分をふき取ります。
before/
after/
表面のつや感が増しています。木材は自然素材で経年により表情が変化していきます。
その変化を楽しみつつメンテナンスして使い続けていくことでより愛着がわき、大事にしていくのですね。
不思議なことに、世界の理なのでしょうか。
木や植物の蜜を運ぶハチから生まれた蜜蝋。
それを人間の手によって加工し、また手間をかけ木の表面に塗ると木は輝きを増します。
形は違えど、元に還る。循環していく。
建築を学ぶ上で大切な木の性質についての知識が増え、自然界における循環についてもハチさんから学ばせていただきました。